― 人件費削減だけではない、利益を生み出す自動化投資の考え方 ―
「ロボットを導入したい。でも、本当に元は取れるの?」
自動化をご検討されるお客様から、このようなご相談をいただくことがあります。
ロボットや自動化設備は決して小さな投資ではありません。そのため、
・ 何年で投資を回収できるのか
・ 人が作業した方が安いのではないか
・ 費用に見合う効果があるのか
と悩まれるのは当然です。
前回のコラムでは、自動化設備の導入費用の相場や見積りを見る際のポイントについてご紹介しました。
(→ コラム「ロボット自動化設備の費用相場と見積りの見方」へのリンク)
今回は、その続編として、自動化設備を検討する上で欠かせない「ROI(投資対効果・投資回収)」について、製造現場の実情を踏まえながら分かりやすく解説します。
ROI(投資回収)とは?
ROI(Return On Investment)は、「設備投資によって得られる利益や効果を評価するための考え方」です。
製造業では、
・ 人件費の削減
・ 生産能力の向上
・ 品質改善
・ 稼働率向上
・ 残業時間削減
などを総合的に考え、「設備投資を何年で回収できるのか」を判断します。
ROI(Return On Investment)とは?
ROIとは、投資した金額に対してどれだけ利益を生み出したかを表す指標です。
一般的には
ROI=( 利益 ー 投資額 )÷ 投資額
という考え方で表されます。
ただし製造業における自動化設備では、この計算式だけでは判断できません。
設備導入によって得られる
・ 生産能力の向上
・ 品質改善
・ 安定稼働
・ 将来の受注拡大
なども含めて総合的に評価することが重要です。

図1 ROIを構成する主な要素
ROI=人件費削減という考え方は本当に正しいのでしょうか?
以前は、「何人分の作業を削減できるか」が、自動化設備導入の大きな目的でした。
しかし現在の製造業では、
・ 人が集まらない
・ 残業時間を増やせない
・ 受注はあるのに生産が追いつかない
という課題を抱える企業が増えています。
そのため最近では、「人を減らす設備」ではなく、「限られた人員でより多く生産するための設備」として自動化が導入されるケースが増えています。

図2 人件費削減型ROIと利益創出型ROIの比較
ROIを大きく左右するのは「サイクルタイム」ではなく「稼働時間」
ここで誤解されやすいのが、「ロボットを導入すればサイクルタイムが短くなる」という考え方です。
しかし実際には、ロボット化によって必ずしもサイクルタイムが短縮されるとは限りません。
安全性や工程の特性によっては、人作業よりサイクルタイムが長くなる場合もあります。
それでも自動化によってROIが向上する理由は、「設備を長時間・安定して稼働させられること」にあります。例えば、
・ 夜間運転
・ 休日運転
・ 作業者の休憩や交代に左右されない連続運転
・ 設備停止時間の削減
などにより、設備全体の稼働時間を伸ばすことができます。
その結果、サイクルタイムが多少長くなったとしても、1日・1か月・1年間という長い期間で見ると総生産量が増え、売上や利益の向上につながるケースが少なくありません。
「生産能力向上」と「サイクルタイム短縮」は同じではありません
「生産能力向上」というと、サイクルタイムが短くなることをイメージされるかもしれません。
しかし実際の自動化設備では、サイクルタイムは変わらない、あるいは長くなるケースもあります。
それでも、設備を長時間稼働できるようになることで、1日あたり・1か月あたりの総生産量は増加することがあります。
つまり、設備投資の効果は、「1サイクルの速さ」だけではなく、「どれだけ長く安定して稼働できるか」という視点でも考えることが重要です。

図3 長時間・安定稼働がROI向上につながる仕組み
「人が作業した方が安い」は正しい比較でしょうか?
初期費用だけを見ると、人作業の方が安く見える場合があります。
しかし、本当に比較すべきなのは、設備価格だけではありません。例えば、
・ 生産能力に限界がある
・ 納期対応が難しくなる
・ 受注機会を逃してしまう
・ 将来的に人材確保が難しくなる
といった課題も考慮する必要があります。
一方、自動化によって、
・ 長時間・安定稼働
・ 生産量の増加
・ 品質の均一化
・ 受注拡大への対応
などが実現できれば、将来生み出せる利益は大きく変わります。
重要なのは、「今いくらかかるか」ではなく、「将来どれだけ利益を生み出せるか」という視点です。
まとめ
ロボット導入のROIというと、人件費削減ばかりが注目されがちです。
しかし現在の製造業では、
・ 人手不足への対応
・ 長時間・安定稼働
・ 総生産量の増加
・ 品質の安定
・ 受注拡大への対応
といった効果によって投資回収が実現されるケースも数多くあります。
大切なのは、「何人削減できるか」ではなく、「設備によってどれだけ利益を生み出せる現場になるか」という視点でROIを考えることです。
三明機工では、お客様の製造現場や生産課題を丁寧にお伺いし、設備導入後の投資効果まで見据えた最適な自動化システムをご提案しています。
「この工程は自動化できるだろうか」
「ROIを試算すると何年で回収できそうか」
「設備投資に見合う効果が期待できるのか」
このような検討段階でも、お気軽にご相談ください。
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